申年に因んで、500点を超える関雪の印顆の中から「明治遺臣〜意馬心猿鈕印 錢痩鐵」をご紹介。
馬に乗る猿の鈕があしらわれた関雪の遺印の一つ。錢痩鐵により「明治遺臣」の文字が刻されている。元は藩士であった橋本家ではあるが、関雪の生まれた頃には野に下っている。しかしながら関雪の中には未だ臣下であるとの思いが残り、「太平臣」「明治遺臣」などの言葉が大正初期によく散見されている。この思いは昭和九年に帝室技芸員に任命されるまでの実に五〇年近くの間、関雪の裡にこもり続ける事となる。
側款 是擽擬趙之謙刀法奉 關雪先生正之 己巳夏 痩鐵 香邨刻
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