平成戊戌年の元日を迎え、白沙村荘も久しぶりに落ち着いた雰囲気となりました。
今年の干支は戌という事で、作品としては大阪市立美術館に収蔵されている「唐犬図」が色紙などになりクローズアップされています。おそらくは展示も行われているかとは思います。
唐 犬 図 昭和11 (1936)年
唐犬とはいわゆる「唐渡り」、つまり舶来の犬の事。この画に描かれたボルゾイとハウンドは、関雪の宝塚の別邸「冬花庵」で実際に飼育されていたもので、当時冬花庵で撮影された16mmフィルムの中に3匹のボルゾイと遊ぶ画伯の姿を確認することが出来ます。画題としては清朝に仕えたイタリア人宣教師の郎世寧(ジュゼッペ・カスティリオーネ)の洋犬をベースに、長谷川等彝の洋犬図や、、狩野永徳の唐獅子図などの影響も混ぜ込んだ構成となっています。その為、少し中国古画の風格と気品を持ちながら、写実を旨とする近代四条派の動物画の傑作として仕上がっており、「玄猿」に引き続きいて本作も絶賛を受ける事となりました。同様の画題を江戸期の画家、渡辺崋山や関雪と同じ近代日本画家、山口華楊なども描いています。
改組第一回帝展出品作 絹本着彩二曲一隻屏風(164・0 × 366.0 ㎝) 大阪市立美術館蔵
さて、干支でいうところの戌は元は天文学から派生して、植物の成長に当て嵌められた上で今度は動物の姿を取るようになりました。戌の周期は「茂り終え、実を熟した草木が枯れゆく」となります。一旦リセットに向かう状態ですね。白沙村荘でも丁度、子の年「新たな萌芽の兆しが種子に宿り始める」の頃より、建物の改修や再建、また新美術館の竣工に向けた動きが始まりました。今年と来年はそれらの流れを一旦リセットしつつ、新たな動きに向けて万事整えていくべき時期なのでしょう。
とりあえず、戌に因んで「おすわり」でもしながら状況の再整理を始めつつ新年を越すことから始めてみましょうか。